パンダに生まれ変わりたい

さまざまな日常

「うちで踊ろう」の終着にて、再び集う(Reassembly 1/28横アリ)

1/28、新横浜駅
3年ぶりの源さんのイベント。という高揚感があった。
実際は「宴会」があったり、10周年のオンラインライブもあったから、「ライブ」の音は楽しんでいたのだけれど。
それでも「3年ぶりだ」と、配信を抜きにして勘定している自分がいた。

3年前、初めてのイエパス会員限定イベントが開催されるということで、そのときも横アリ公演を申し込んでいた。
ズボラな私は払い戻しも忘れたまま今に至る。利用していたLINEチケットは昨年サービス終了した。
正直言えば、トークよりライブを楽しみにしていたが、12月に世界ツアーの横浜公演にも行けたし、これからもライブがあるだろうから、こういうイベントもいいか、などと思いながら申し込んだのを覚えている。

忘れもしない2020年2月26日、東京都が大規模イベント自粛要請を発出した。
私が週末に観る予定だった舞台はその日が千秋楽になり、隣のドームで行われるはずだった公演は即日中止となった。
Assemblyについては即日のアナウンスはなかったものの、同じ事務所のライブが中止になっているのもあり、中止は避けられないだろうと感じていた。
中止のお知らせを受け取った時、残念なような、少しホッとしたような気持ちだったのを覚えている。
決行しているライブ(イベント)への風当たり、万一源さんのイベントからコロナを広めてしまったらという恐怖、そして自分自身もその場に行くのを、少し怖いと思ってしまっていた。
今から考えればちゃんちゃらおかしいような感染者数だったよ。
しかし相手は死亡率2%の未知のウイルス。当時はワクチンも基本的な治療指針もない状況。
世界は日毎に変わっていった。

いつの間にかライブは配信が当たり前になった。
千秋楽は配信があるかな~ってくらいの舞台も、複数日の配信をするようになった(これは本当にありがたいから続いてほしい)。
関係者から陽性者が出て中止になる公演もあった。
過去のライブ映像を期間限定で公開することもなんか、増えた。
行ってみたかったアーティストのライブに配信で気軽に参加できるようになったのもよかった。
フェスが無料公開されて、賛否両論を巻き起こしたりもした。鬱憤のはけ口でしかないような意見も多く見た。
3年間、形が変わる部分があっても、ライブを守ってきた人たちが大勢いた。
理性と衝動が揺らぐ空間を、楽しんでなかった人にどうこう言われるのが腹立たしい時期もあった。(ライブに限らず。新型コロナという共通議題にあらゆる「外野の声」が飛び交っていた)
逆に現場から離れてしまうと、そんなリスク活動をするもんじゃない、と思う時期もあった。
いち消費者ですら、時期と熱意と距離が違えば考えることが違った。守る側、活動者側からしたらたまったものじゃなかっただろうな。

10周年ライブ"Gratitude"の「Hello Song」で「いつか『この』日を いつか『この』日を 超える未来」と歌った源さんを観て、呻くような泣き声を上げた。
私の中でひときわ輝いている思い出の曲が、ドームツアーでの「Hello Song」。
当時の自分の感想を引用すると、

これ、この曲。
この曲を浴びるまで、「ラストの曲は「Hello Song」なんだろうけど「Friend Ship」も聞きたかったな~~」などとぬかしていました。
けど、ああ、これが最高なのだと。この瞬間が、正しく最高なのだと、分からされたなあ。
続発性POP VIRUS症候群 より

とのこと。
今でも鮮明に思い出せる。2/27に「この世がぐちゃぐちゃになっても、また会えたら、笑顔で会いましょう!!」と叫んでいた源さん。
一年後に世界がこんな風になるなんて思ってもなかった私は、人類が滅亡したときにどうかこの風景がBlu-rayで異星人に見つかってほしい、などと思っていた。(世界なんてすぐぐちゃぐちゃになるんだって、考えてもいなかった)
それくらいに最高で、輝いていて、幸福で。源さんも(最高を作っちゃったな)と思っていただろうけれど、私だってこんな最高ってもう二度とない、と思っていた。
それからたった一年半。渋谷クアトロの客席で、セカンドステージの編成で、敢えて悪い言い方をすればこじんまりとした形で披露された「Hello Song」。
「この日、を」と、床を指し示すジェスチャーで「あの日」って、今、ここのことなんだ。と思った。
私は大した苦しみもない、仕事もなくならずに済んだ、ただの社会人です。それでも発散する先のない怒りややるせなさや悔しさが心の内側にへばりついていて。
「めちゃくちゃな『この日』の先で、笑顔で会おう」という言葉に、2020年の私は嗚咽したのです。

3年経ち、「この日」に明確な終わりの日はない、と理解しながら生活を続けています。
個人的な許容ラインと、世の中的な許容ラインと、医療キャパ的な許容ラインと、が、オシロスコープの波形みたいに多重に重なり合う日々。
追い越したり、追いついたり、また戻ったりを繰り返しながら、少しずつ、以前のような楽しみを同じ形で味わっても影響度は大きく無いのではないか? という段階になってきた感覚がある。(私は科学的根拠に基づきマスクは必要派です)(念のため)
そんな中で迎えた2023年1月28日。
でもやっぱり、この日は私にとって明確な、ひとつの「この日」の終わりでありました。

【当日の話】
前置きが長いよ。
今回はソロ参加(まあそう)。人と行くのも楽しいけど、Twitterがあるからひとりも気兼ねしなくてとてもいい。
割と客席では元気な方なので、迷惑になっちゃわんかなという気持ちがある。
ちょっと早めに横アリについて、タオルとフライトタグを買った。Assembly(2020)のフライトタグと一緒にカバンに付ける。
そう、本当にたくさんの人がフライトタグをカバンに付けていて、まるで異世界に入るのに必要な御札のようだな……とマスクの下で小さく笑いながらアリーナまで向かった。
コロナ禍で現場行ったのはほとんどがオタクコンテンツだったから、痛バもメンカラコスプレ(風服装含む)もない会場までの行列というのは不思議な感覚があった。
まるで駅にいる、ただの他人のような。昨日交差点ですれ違った人のような。ちょっと言ってて可笑しいな、私だってそんな人間のひとりだった。
いろんな背格好の人が、それぞれの生活の中でひとつの場所に集っている。源さんのライブではこれが強く感じられる気がしてとても好き。
個人的には、エロボヤやコンテヌの時みたいなコスプレの人たちが少なかったのも落ち着いて観られてよかった。禁止されているわけじゃないし別にいいんですけど、私はどうも落ち着かないので。

身分証を見せつつの入場と荷物検査を終え、ロビーに入った瞬間、涙がこみ上げてきた。
ああ、ライブに来たんだなあ、という実感。
席はセンター席のだいぶ後方。東2ブロック。お尻側のど真ん中。
バンドメンバーの見え方は、左手手前から長岡さん、櫻田さん、武嶋さん。右手手前から淳悟さん、玉嶋さん。
長岡さんと淳悟さんの配置がボス戦みたいで面白いな~と思ってた。
ドセン過ぎて前の席の人の頭と源さんが完全に直線で被って見えない時間があったくらいのドセン。
センターステージなので後方といっても単純にいつもの半分なわけで。かなりしっかり見えたし、モニターも見やすかったけど基本ずっと背中を観ていた……。だから、照明とかの記憶が、ちょっと、薄い……。
てかTwitterランドで生きてるのに一切最終日までセトリバレをくらわなかったのすごかった。唯一食らったのは物販後のリハの音だったよ。本人以外からネタバレを食らわない民度、すごすぎる。

さて、ライブについて残していこうと思います。
3年間配信ライブに甘えまくっていたため1回で記憶が定着しない体になってしまった。本当にダメ。老化。

OP
「Hello Song」に乗せて、源さんの打ち合わせの様子が映し出される。
「Hello Song」への思いがすごいので、ここですでに涙。ここの涙は「戻ってきた」と「変わっちまった」の涙です。

1、化物
ドラムのソロから始まった「化物」。
1曲目の印象が強い曲。アルバムもそうだし、アルバムツアーもそうだし、2-3曲目だったとしても「こんばんは、星野源です!」をこの曲で言う事が多いから、開幕曲の印象がある。
この曲はアフターパーティーアーカイブで聴けるので聴いてますが、このドラムソロの段階で裏拍手拍子できるの、偉すぎ さすがイエパス会員。
ていうかアレンジがめ~~っちゃかっこいい めちゃめちゃかっこいい
シンセがあちこちに遊びにいってたり、ギターのソロが新しかったり、フレーズの挿入があったり。
本当はサビで飛びたいんですが、そこまでのボルテージではなく。皆さん落ち着いて聴いてらっしゃいます。
そう、声を出せないって、ボルテージが、上がらないんですよ……。(声出し解禁は未アナウンス)

2、桜の森
いえ~い! ライブでのお決まり! 桜の森!(リリック)
この辺の流れはドームツアーらへんを踏襲している感じがしてお! 来たね! という感じ。
とにかくギターリフだ最高なのですが、今回も例に漏れず最高。
この曲を聴くと、「うわ~~源さんのライブに来た!!!!!!」ってなる。みんなそうだよね。
思い出そうとすると脳がドームツアーの映像を再生しようとする。やめてくれ。
ギターリフはドームとは違う感じだった。原曲に近い感じだった、ような……記憶、が……。

3、ミスユー
曲の前のMCで「普段のライブだと飛ばされがちな曲をやりたいと思って」という話があった。
「エロボヤでやったことない!?」と思ったけど、2017年だよ……。
サビの歌詞の羅列がすんごい好き。寝る前に聴きたい。
長岡さんのギターの色気がたまんね~のよ。

4、Present
「ドームでやったことない!?」と思ったけど、2019年だよ……。
ドームツアーでは檻のような照明だったけど、今回は違ったな。
イントロはチェロが印象的ですが今回はいないので、結構不思議な雰囲気。ピアノが結構重苦しい雰囲気を醸し出していた。
バンドメンバーによるコーラスが分厚くてかっこよかったのよ! ゴスペル……。
あと、そう! 「高く手を振った」で手を振った! これすごく好きなんですよね。なんというか、概念へのお手振り……。
源さんに手を振る、というのと、未知の向こうにいる「誰か」に手を振る、というのと。歌詞と現実のダブリング。

5、不思議
リリース後ライブほぼやってないのになぜかいろんなアレンジで聴けちゃっている曲その1!
めっちゃ不思議なんですけど、テレビで生演奏やりすぎてて「ライブアレンジを知ってる」状態なんですよね。
すごいから。局ごとにアレンジをちょっとずつ変えて。演出も局ごとに違うからすごく面白かったのを覚えている。
水の中にいるようなシンセの音がとても好きで、生で聴けてドキドキした。

6、うちで踊ろう
個人的に今回のイベントで一番忘れられない曲。一生忘れたくない。
この曲の前にMCが入った。
「そう、声出しOKになったらしいんですよ、今日から! すごくない!?」といきなり発表されて、一瞬ぽかんの観客。
いやだって、開演前にそんなアナウンスなかったし。そして、私はニュースを観ていなくて、27日に解禁のニュースをきちんと理解していなかった。
いやでも声出して良いんだ……ということで、さざなみのような「いえー!」とか「ふー!!!」とかが広まっていて、本当に、本当に以前の歓声を、私も皆も源さんもバンドメンバーも聴いて……涙が出て……。
私も元来「フー!」と言う人なのですが、あまりに久しぶりすぎて音程がわからず全然声出なくてびっくりした。

源さんも、イエローボヤージあたりからあまり歓声を拾わないようにしていたけれど、今回は拾っていた。
「お誕生日おめでとー!!」とか、「おかえりー!!」とか。
誰かがハッピーバースデーを歌おうとして、周りの手拍子だけが広まって、源さんが「何!? 何のアンコール!?」って言ってたりしたね。

どんどんボルテージが上がる客席に、私の耳にも届く歓声に、私も涙が止まらなかった。
もう正直、ここから先記憶ないんですよ。
源さん、泣いてらしたのも、見たのですが、なぜかモニターを一切見てなかったのでお顔の記憶はない。これに関しては「見てない」だな。
なんでかなあ、源さんの背中だとしても、モニターを通してない源さんをずっと追っていた。お顔は、円盤に、任せる。
揺れる背中や、持ち上げたかかと。水色の背中は今でも思い出せるよ。
やっぱりねえ、声を思い切りだすと、体がよく動くんですよ。声を出しながら音楽を楽しむって、酒を飲んで楽しむより簡単だ! と思った。

「うちで踊ろう」。
この曲は、曲の音楽性というよりは「ムーブメント」としての側面が強い。
緊急事態宣言が出されて、「ステイホーム」が呼びかけられて(ワード自体はイギリス発でしたっけ)、私は閉塞感からあつ森をしまくっていた。
ライブのようなイベントだけに飽き足らず、アニメの収録やドラマの撮影すらできなくなって、仕事がなくなった人がいた。
一方で、死亡率2%(当時)の感染者を治療・看護する人がいた。
世の中がこれらに大別されるわけじゃないけど、みんなが閉塞感で苦しかった時期だと思う。
そこで、言い方を悪くすれば源さんは「インターネットのおもちゃ」になった。
素材を提供することで、ウイルスに、「人間の創造性」で抵抗した。
「面白いことをしよう。楽しいことをしよう」。この言葉はあまりに印象深い。
色んな人がさまざまな作品を作っていて、すごいなあと思ったよ。全然違うカルチャーでフォローしてる人がコラボしてて驚いたりもした。
皆が遊ぶための砂場を提供しただけなので、その使い方は各々に任されるわけで。
クソつまんねえことする人も山のようにいたよな! 忘れないからな!
……といいつつ。私個人は、曲のメッセージ性をメインに咀嚼し、杖にして2020年を過ごしました。
だから「うちで踊ろう(大晦日)」が本当に好きで。2番以降の歌詞がメッセージ性全振りだったので始まった瞬間にダー泣いた これは紅白の話。
ここで、「うちで踊ろうムーブメント」にピリオドを打った、と言ってらしたよね。

そして、この日、横アリ。
「今何してる? 僕は一人この曲を歌っているよ」
SNSの空白のテキストボックスに書かれるワード、「今何してる?」ですよ。
それぞれが、スマホやPCの画面を見て、文字を打ったり写真を載せたり映像を撮ったり、したよ。その中で出会う日々だったよ。
それが、この曲が、13500人の歓声の中で歌われるなんて。しかもセンターステージ、ほんとうにど真ん中。
「うちで踊ろう」のお焚き上げのような瞬間だった。
大阪では「この曲を皆の前で歌うのはこれで最後にしようと思っている」という旨のお話があったらしく。
苦しい日々を支えてくれた曲が、苦しい日々の先で大勢の歓声の中で終わりを迎えたのが、あまりに美しすぎる。
「僕らそれぞれの場所で……重なりあえたねえ~~~~!!」という、源さんの嬉しそうな声が嬉しい。

ここから、声が出せるのに伴って明らかに客席の熱が上がり、私も興奮しており記憶が定かではない。ご容赦。

7、Continues
いやさあ、この曲に続くの……………………て、天才………………。
「Continues」、ライブツアータイトルにもなった曲。
始まった瞬間、沸いた。みんな沸いてた。
「命は続く 日々のゲームは続く 君が燃やす想いは 次の何かを照らすんだ」
「足元の 地平線の向こう」
本当に写経したい歌詞だなあ。
シングルやアルバムで聴いていた頃だと、「今から始める未来」の感覚でいたのですが、
この場では完全に「過去、今、未来」の感覚でいた。
これまで生きてきたこと、今ここにいること、そこから繋がるこれから。全部を感じた。
13500人のこれまでがあって、その交点がいまここで、また明日から違う場所で生きていくんだなあという感慨。
星野源さんの活動含めた音楽のこれまでと今とこれから。
そういうなんか、超越した気持ちで? 手拍子をしていた。本当にいい曲。
最後の「ラララ」が歌えることにまた涙。
「もっと!」と煽られて声を張り上げる。周囲の人の声が聞こえる。手を頭上に挙げて、クラップをする。これが、こんなに嬉しい。

8、SUN
武嶋さんが難しい(アレンジが狂ってる)って言ってた曲。改めて原曲聴いてみたけど、たしかにサビのストリングス、マジで細かいとこ違うよね。
「SUN」の「Ah Ah」の部分を、マスクしながら本気で歌うと、息が足りなくなる(そりゃそう)
前の曲だったかもしれないけど「横浜ーー!!!!!」「イエ~~~~~~!!!!」ってのもやった。やれた。
イレブンプレイの皆さんもいらっしゃらない、バンドだけの「SUN」ですが、ほんと、なんも見劣りめいた感覚がなくてさ、ただただ最高でした。
体を揺らすのが本当に楽しい曲。ライブでこれからもいっぱいやってほしい。

9、ある車掌
あ、ある車掌~~~~~!!!!!!!!!!(涙)
「リクエストありがとうございます。色々考える中で、今聴くとまた違った聴き方ができる曲もあるなと感じて選びました」
みたいなMCをしていらしたと思う。
あまりやってない曲を、というお話とともに、始まった、この、曲……。
生で聴くのは私は、武道館ぶりで……つまり、初めてのライブ以来で……。
Strangerが本当に好きで、リリース当時に比べれば聴く回数は減っているけれど、心の取り出せるところにこのアルバムのやわらかさがある。内面化されている感覚があるアルバム。
星をこぼしていくようなピアノの音が流れた瞬間、ため息が漏れた。声を出さずに「ある車掌だ」と。マスクの中で。
「壁を殴るだけの簡単なお仕事です」というコピペワードから生まれている「ただ流れる窓の外を見るだけのお仕事です」。
アコギを抱える背中がすんごい良かったよ。
オレンジの照明が右上から源さんを照らす。夕焼けの色だ。
エピソード・Stranger時代の曲、スチールギターの音色が好きな曲が多くて。長岡さんのギターも当時のニュアンス優先で弾いてくださっている。

10、日常
ああ、ああ 私は ずっとこの曲をライブで聴きたくて
サビの手拍子をずっとずっとやりたくて
エピソードのツアー以来、一回も演奏されていない、「日常」
私もライブで聴いたことがなかった。
でもずっと、主に大学時代、研究室にいた頃、ずっとずっと聴いていた。ひたすら1曲リピートで聴いていた。
テスト前とかもずっと聴いていた。なんというか、そういう、差し迫った何かをいなすときに聴いていた(あまり良くない聴き方かもしれん)
「日常が襲いくるという感覚」というワードが印象深い。ライナーノーツだっただろうか。妄想かも。
やってくれると思ってなくて、最初の音でわからなかった。それくらい予想外だった。
しかもバンドでやってくれるってそんな、贅沢……。
一時期、「ばかのうた」「エピソード」曲は弾き語りパートで演奏されることが多くて、嬉しいと同時に寂しさも感じて。
ミニマルにまとめた方がライブの演出の流れの中でよいというのは分かるんですけどね。
「湯気」とか「ステップ」はアレンジ変えてメインステージでやられてたから適材適所なんですよ。
そんな思いが全部成仏した。バンドで「日常」をやってくれた。
今からすると少し片意地張ってる感じはあるけれど、一般人にとっちゃそれくらいの気の張り方が心地よいくらいだ。
サビで手拍子したよ~~~!!!!!!!! 同じ列で、一人だけ、してる人がいて、連帯意識があった。
ウン👏ウン👏👏のリズムがすんげ~~好きなの!!!!! すんごい嬉しかった!!!!!!
暗いトンネルをずんずん進む足音みたいなリズムが根底にある曲。ラスサビのちょっとだけ足取りが強くなったような手拍子がたまらないの。本当に。
本当は会場全体で手拍子できたら嬉しかったな~と思うけど、10年前の今とテイストが全然違う曲だから、イエダン以降の源さんの曲を聴いて好きになった人たちがこの曲の手拍子のリズムを覚えていないのはしょうがないこと。
むしろ、「スーダラ節」で手拍子が発生したのを窘められたこともあるから、静かな曲では手拍子しない、が不文律めいたものになってたかもしれない。その人らからしたら「こいつ手拍子しやがって……」と思われたかもしれない。でも原曲にあるから! 聴いてみて! 転調後の手拍子、最高だよ!!
たまアリでフィルムの手拍子やらなかった後悔もあり、自分だけでもやった。やったらやっぱりテンションあがった。本当にありがとう。

11、喜劇
リリース後ライブをやってないのになぜかいろんなアレンジで聴けちゃっている曲その2!
「私の居場所は作るものだった」のメロディをサックスで寄り添ってくださってるのめちゃめちゃよかった。
「不思議」もだけど、「この編成がほぼレコーディングメンバー」だから、いい意味で完成形を聴いている感覚。
いやしかしサックスが本当に全編通して最高だった。感情をめちゃくちゃ揺らしてくる。
ラスサビ入りのドラムのキメもいいなあ。

「長く活動を続けていると何年かに一度、ご褒美みたいな瞬間があって」「SPY×FAMILYという漫画がとても好きなのですが、主題歌をやらせていただくことができました」
というMCが曲の前にありました。
ドームのドキュメンタリーであった、「タイアップ取ってきてもらって、曲を出して、音楽番組で披露して……というループにやや疲れている」という旨の発言を思い出していた。
ここ数年の源さんのタイアップ曲は、タイアップ元の作品をこれでもかと練り込んで自分の思想となめらかに接続するような曲になっていることが多く、ドキュメンタリーで言及したような「タイアップ曲作り」ではない仕事ができているんだなあ、と改めて実感した。
むしろそちらの方がはるかに大変なんだと思うけど、でもそちらの方がやりがいがあるのだろうなと思う。

そして、
「次で最後の曲です」
「ええ~~~~~~~!!!!」
のやりとりをやる。
もう一回やる。
「熟年夫婦のようなやり取り」と笑う源さん。ライブではいつも楽しそうにこれをやってくださるのが、私も好きだった。
今回もやれて本当によかった。声出せなかったら拍手しか我々の「わざ」はなくて、まるで「帰っていいよ~」みたいでやだな~と思ってたので。
そして、最後の曲。

12、Hello Song
私は、前述の通りこの曲が本当に好きです。
曲として一番好き、とプロフ帳に書くなら「Pop Virus」ですが、「思い出深い」とか「忘れられない」とか「最高の」とかなら間違いなく「Hello Song」。
「最後の曲。歌って、踊って、そして、挨拶を交わしましょう」という口上から始まったこの曲。
絡み合うピアノとサックスのイントロ。コメディのようなドラムのリムのリズム。おどけたギター。イントロだけでこんなに嬉しくて、満足してしまう。幸せだ。
楽器構成は私が「こじんまりとしている」と感じた10周年ライブと大きく変わらない。それでも、こんなに音で溢れてて、楽しい!
(ラスサビはストリングスの音入れてることに今ようやく気づいた。やっぱストリングスあった方が盛り上がるもんね!? でもサックスの存在感良かったんですよ~~!!)
今回の口上を聞いて、そうか、「Hello」って、挨拶か。と私はようやく、4年以上経って気づいたんです。
アルバムで聴いたときの固定観念が強すぎて(人類滅亡後異星人に発見されるシチュエーション。癖が強い)、全然源さんとファンの間の「ハロー」だと思ってなかった。「笑顔で会いましょう」は、(ライブにおいては)こちらに向けられたものだと思ってはいたけど。
ドームツアーの「笑顔で会いましょう」は言葉通りの意味で。「また(次のライブなどで)会えたら、笑顔で会いましょう」という、源さんらしい、束縛のないさよならだった。
コロナ禍になり配信ライブでは「いつか『この日』を越えた先で、笑顔で会いましょう」という約束になった。
そして今日、ここで、『この日』は、ひとつの区切りを迎えた。
歌詞はもう、「いつかあの日を 超える未来」だ。
「元通りの世界」なんてどこにもない。ご褒美のようい現れることもない。あるとすれば、「苦しみや痛みを越えて、以前のように振る舞う世界」だけ。
「あの日」から線を引いた先に今、私達はいる。
新興感染症に脅かされることなく、歌って、跳ねて、声を上げた「あの日」を越えて、
集うことすらできず、見えないものに抑圧され、うんざりしながら過ごした「あの日」を越えて、
今、ここに、いる。
あの日をこえた未来にいるんだ! という、興奮。
「笑顔で……会えた~~~~~!!!!!!!」
と叫ぶ源さんに、私達も精一杯の歓声で応える。
奇跡の中にいる。私達だって思ったよ。いかん、主語がデカくなっているな。それでも。
こんなに全員が「会えた!!」って思うこと、もうないんじゃないかな。そう思うくらい嬉しかった。
源さんに「おかえり!!」と声を掛けた方がいたけど、お互いに「おかえり」で「ただいま」なんだよね、我々。そして、「ハロー」。
ドームみたいに駆け抜ける花道はないけど、なんかもうそんなんなくても全力で走ってるみたいな気持ちだった。
金テが射出されるときの瞬間も気持ち良すぎる。頭上で暗闇の中、照明を乱反射して輝くテープの美しさたるや。
最後はまた、「笑顔で会いましょう!」と手を振った。挨拶と、約束。
絶対にこの瞬間が宝物になるってわかってたから、なんの心配もなかった。

実は、物販を出たタイミングでリハの「Hello song」が漏れて聴こえてきたんです。
「あ、やるんだ。そりゃそうよね」と思った一方、ドームのこの曲のことを思い出して「世界、変わっちゃったなあ」などと思いながら泣いていた。
また最高の「Hello song」に出会っちゃったな。
本当に最高の宝物になる時間でした。「ありがとう!」と声を出せたのも嬉しかった。
本当に、ありがとうございました。


トークパートやアフターパーティーの思い出ももちろんありますが、まずは書き切ることを目標に、一旦区切りとします。
書け次第、増えます。