パンダに生まれ変わりたい

さまざまな日常

Friend Ship論

YELLOW DANCER、最後の曲。別れの曲だけど、悲しさや寂しさに溢れてるけど、同時にとても前向きな曲。

初めて聴いた瞬間からめちゃくちゃにハマった。

ノスタルジックなマリンバも、ラスサビの泣きそうなギターも、どれもこれもむちゃくちゃ泣けるじゃないか。

もともと私は源さんの曲の「明るいのに暗い、暗いのに明るい」という部分にドボンしたのだから、この手の曲にはめっぽう弱い。やわらかな別れを歌ったこの曲を最後にもってくるなんてひどいなあ、と当時は思ったものだ。

 

しかし、心の底から好きなのに、私はしばらくこの曲を聴くことができなかった。それは、歌詞カードの曲コメントのせいだった。

「離れるべきときに別れられる、それが本当の友情である」という旨のコメントは、当時SUNブームによって新規ファンがどわーっと流入してきて面白く思っていなかった私の胸に刺さった。

とにかく面白くなかった。SUNがとんでもなくいい曲なのは分かってるけど、アイドルみたいな祭り上げられ方をし始めた源さんを見るのが面白くなかった。

ただの古参老害ファン(言うほど古参でもない)に成り下がっていた私には、この曲は源さんからの「心から星野源の音楽で楽しめないのなら、それは潮時だよ」というメッセージに思えた。真っ直ぐな曲だから、余計に苦しくなる。私はこの曲のもつ朝日のような眩しさが怖くて、しばらく曲を聴くことができなかった。

 

しかし、それを覆したのもまた、源さんの音楽だった。

冬のFNS歌謡祭。夏のFNSもなかなか記憶に残る構成だったけど、こちらは全く違う意味で忘れられないパフォーマンスだった。

まるで自分のライブをやっているかのような「こんばんはー! 星野源です!!」や、手拍子や、手拍子に対するお礼。終始笑顔で自分の音楽を目一杯聴衆に伝えようとする源さん。音楽番組なのに、源さんの尺は源さんのライブだった。

源さんが私たちに「星野源」を見せようとしてくれている。それがすごく幸せで、嬉しくて、テレビの前でボロボロ泣いた。SUNのヒットがなかったら、複数公演に行けたかもしれない、新規ファンに複雑な思いをしなくて済んだかもしれない。でも、SUNのヒットがなかったら、こうやってテレビの中でファンに語りかけてくれる源さんを見ることはできなかった。見せてもらうことはできなかった。そんな当たり前のことに気づいて、今までの暗い感情が一気に吹っ飛んだ。

 

2016年はSUN以上の恋ヒットがあったのでふたたび暗黒面に落ちた私だったけれど、紅白の源さんでまた浄化されてしまったんだよなあ。

なので、なんだかんだ「離れるべきとき」はまだ来ていないと信じている。でも、その時が来たら、「離れゆく場所で 笑いあうさま」といきたいと思う。